夜市(恒川光太郎)読了 [感想・小説]
恒川光太郎デビュー作の文庫化。
彼の描く異界は、どういうわけか非常に美しく、それでいてどこかとても懐かしい。
私は2作目である「雷の季節の終わりに」から恒川作品を読み、今回最初の1作目に戻った形になる。
そこで思ったのは、異界と、それにふれたひとびとという物語の形は、デビューから一貫していたのだな、ということだった。
恒川作品が気になった方には、是非この作品から入ってほしい。
作品としては、夜市よりも同時収録の風の古道が好き。
これはどちらの作品のみならず、他の作品にも言えるのだけど、異界に触れて戻ってきた主人公たちの寂寥感がすごく印象的。
ホラーというよりは民話の怖い話といった風情がまたとてもよい。
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