太陽の坐る場所(辻村深月)読了 [感想・小説]
辻村深月最新作。
してやられた。
違和感はあった。
その違和感をずっと抱えて読んできて、それがあるときすっと消える。
目の前が開ける。
この物語の作り方が、辻村深月は抜群に上手い。
ずっと辻村作品を読んできていたから、その仕掛けには気づけたはずなのにすっかりしてやられた。
お見事としか言いようがない。
高校を卒業して10年。
大人になってしまった「彼ら」と、学生だった頃の「彼ら」が折り重なるように綴られる物語は、どこか哀愁をまとっている。
あの頃から、なんと遠くへきてしまったのだろう。
そんなセンチメンタルさが、辻村深月は本当に上手い。
辻村作品の中では珍しく単独で楽しめる作品です。
これまでの作品ももちろん単独で読めるのだけども、クロスオーバーがかなり多いのでやっぱり全部刊行順に読むのをおすすめしてしまう。
もっとも、この「太陽の坐る場所」もそっと講談社作品と隣り合っているのだけども。
だから辻村深月をこれから読むひとにもおすすめしたい。
「冷たい校舎~」が頭ひとつ突き抜けているとはいえ、結構ボリュームがあるから、1冊ですっきりと読めるこれは、初心者さんにはもってこいだと思います。
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